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 「雨の日にはこめかみが締め付けられるように痛む」
「台風が近づいてくると耳鳴りがひどい」「梅雨時には古傷がズキズキ痛む」
……天気の気象要素(気圧、温度、湿度、日照時間、降水量、雷、風など)によって引き起こされる体調不良や古傷の悪化などは、医療現場では昔から「気象病」といわれ、
中でも気圧の変化に伴って慢性の症状が増強するものは「天気痛」
(または「低気圧不調」)と呼ばれています。
 症状としては、頭痛が圧倒的に多く、ほかには、肩こり・首こり、だるさ、めまい、
耳鳴り、気管支ぜんそく、関節痛、神経痛、古傷の痛み、うつなど、
人によってさまざま。一つだけでなく、
複数の症状を同時に併発するのがこの病の特徴です。

 主な原因は、気圧の変化。特に、気圧が低下すると人間の体はストレスを感じるため、それに抵抗しようと自律神経が過剰に活性化され、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。交感神経が活発になり過ぎると、脳内の血管拡張による神経圧迫で頭痛などの痛みを感じ、副交感神経が活発になると組織にむくみが生じ、だるさや眠気を催したりすると考えられています。

 民間の天気予報サービス[ウェザーニュース]では、3月から「天気痛予報」をスタート。気圧などの気象情報を市町村単位で分析し、“安心”“注意”“警戒”といった天気痛発症リスクをスマホアプリやウェブサイト上で展開しています。

 症状改善をうたう医薬品も登場しています。
[ロート]から4月に発売されたのは、主に天気痛による頭痛を抑える「キアガード」(24錠/税別1300円)。血行促進や鎮痛作用のある5種類の生薬をブレンドした漢方“五苓散(ごれいさん)”を有効成分として使用。

 [小林製薬]も4月、同じく五苓散を主成分とした「テイラック」(24錠/税別1000円)を発売。頭痛に限らず、だるさやめまいなど、複数の症状への効果を訴求しています。

 また、気象予報士が考案したという天気痛対策アプリ「頭痛―る」(配信元/ポッケ)も話題となっています。気圧の変化を予測し、症状が出そうなタイミングの通知や変化時の注意点が表示されるほか、症状や薬を服用した時間などを記録することができます。

 現在、天気痛で悩む人は、日本で約1200万人にも上ると推定されており、うち8割が女性です。患者数は、年々増加傾向にありますが、“病”としての研究が始まったのは最近のこと。おかげで、これまでなんとなく感じていた、天気によって出現するあの不調が、決して“気のせい”ではないことが明らかになり、晴れて「天気痛」という正体が認知されるまでになりました。

※以下参考・・

ウェザーニュース       https://weathernews.jp/
ロート製薬          https://www.rohto.co.jp/
小林製薬           https://www.kobayashi.co.jp/
ポッケ            https://www.pocke.co.jp/
日経МJ(2020年5月20日付)